ーー小包ーー




病院で入院中の周翼。




ベッドで体を少し起こして、病室の窓から青い空を眺めている。




まさか、自分がこんな病気になるなんて、思っていなかった。




吉井さんに毎日会いたいと思っているけれど。




毎日点滴で体力も大分落ちたみたいで、自分で体を動かして移動をする事も、もう出来なくなってしまった。




元気にサッカーをしていた頃の自分が嘘みたいだよ。




あのルーズリーフを覚えているかなぁ?




俺は自分の行きたい所を制覇できた。




思い出すと全部楽しかったなぁ、隣に吉井さんがいつもいて。




俺は吉井さんのことが本当は好きだった。



今になって凄く後悔している。




例え、吉井さんに好きな人がいていたとしても。




自分の気持ちをきちんと伝えていれば良かったと。




チャンスはいくらでもあったのに……。





でも、自分に残された時間がもうあまりないみたい。




周翼がずっと待っていたあのくしゃくしゃなルーズリーフを両手で綺麗に広げ、何かをゆっくりと時間をかけて書いている。



本当は吉井さんに告白をして、吉井さんの彼氏になって、いつの日か吉井さんと結婚ができたら良いなっていうのが自分の夢だった。




でも、その夢は叶いそうにないから。




吉井さんがいつかその夢を叶える日が来た時に、この絵に斜めの線を入れて潰して──。





教会。




ウエディングドレス姿の新婦。




結婚指輪。





新郎はあえて描かないよ、吉井さんに素敵な人を探してもらいたいから。



『吉井さん、幸せになってね』


右手のキーパーグローブに4つ降りにしたルーズリーフをしっかりと詰め込む。