──喫茶店──





喫茶店にいる西島先輩と菊恵の二人。





店内はエアコンがほどよく効いていて涼しい。





そして、スローテンポのボサノバの曲が喫茶店の中の空間を癒すように流れている。






菊恵がメロンソーダを一口飲む。






シュワシュワとした細かい炭酸の弾ける感覚がゆっくりと喉を通過していく。






──喫茶店に入ったものの、西島先輩と二人きりになるとさっきまでなかった緊張が一気に全身にこみ上げてきた。





大学生になった西島先輩、髪をヘアワックスで良い感じに整え、服装もオシャレで前よりも心なしか少し大人っぽく見えた。






ジンジャーエールを一口飲んだ西島先輩がニッと笑顔を浮かべる。






「どう、高校生活?楽しんでる?」




「えっ、はい、まぁ……」






「そっかぁ──。大学入って、俺はまたサッカー部に入ったけれど、そう簡単にはレギュラーには選ばれない……。まっ、俺なんかよりもレベルが高そうなやつ幾らでもいるからなぁ──。世の中、そんなに甘くないよ」





真顔で話終わった後、ジンジャーエールを飲み少し意地悪そうな笑顔を浮かべる西島先輩。




菊恵もメロンソーダで渇いた口を潤す。





「っで、坂口と付き合ってるの?」






はぁっ!?坂口くんと?






口に含んでいたメロンソーダをぶっと吹き出してむせている菊恵。





「ちょっと、冗談のつもりで聞いたんだけど。ごめん、ごめん……。あっははははっ───」






大きな口を開けながら笑って、何度も謝る西島先輩。





「あの──、先輩!何をどうしたら坂口くんと私が付き合う関係になるんですか──」