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それから1週間ほどが経って。
二宮くんとの同居生活は、残り1ヶ月となった。
お弁当を食べ終えたお昼休み、
あたしはひと気のない階段の踊り場で、二宮くんと電話していた。
踊り場の窓から見える空は、梅雨の時期特有の曇天もようだ。
『或音が今日、家に行きたいって言うんだけど』
「柊木くんが? あたしはかまわないよ」
『……ことわっていいのに』
本心なのかわからない二宮くんの小さなつぶやきに、ちょっと笑ってしまった。
きっとそばには柊木くんがいるよね。
菩薩なみの広い心で笑ってるんだろうな。
「今日はハンバーグの材料の買い出しに行こうと思ってたんだけど……」
『なら俺らが行くから。あとで買う材料だけLINEして』
「あ、うん。わかった。でも、柊木くんはお客さんなのにいいの?」
『いいよって言ってる。つーか、こいつ相手に気遣わなくていいよ』