次の日の朝。
あたしは早速、失態を犯した。
「どうしよう…!遅刻しちゃう!!」
「珍しいな。瑠奈が朝、起きられなかったなんて」
…そう。
あたしは、人生で初めて予定時刻に起きられなかった。
いつもは目覚まし時計をかけるのに、
昨日に限ってかけ忘れてしまった。
…あんなことがあったから動揺しちゃったのかも。
「もう、行くね!!」
「朝ご飯は?」
「大丈夫!ご飯、作れなくてごめんね!!」
「俺は平気。ほんとにいいのか?」
「うん!じゃあ、行ってくるね!!」
「おう。気をつけてな」
ドタバタしながら家を出た。
…スーツよし。
眼鏡よし。
髪よし。
身だしなみをチェックして、あたしは走り出した。
紘くんは、
あたしより近い会社で、時間も遅めだからゆっくりしてられる。
でも、あたしは少し歩く距離。
それに、今日は初日!
絶対に遅れてはならない日!!
あたしは、全力で走った。
走ればギリギリ間に合うはず…!
走ること10分。
ようやく会社に到着し、新入社員が集まる会場へ向かう。
中へ入ると、すでに人で一杯だった。
…人気なんだなぁ。