☆総司side☆




オレの今までの人生、女に関しては良いことなんて1つもなかった。

オレは女に裏切られて育ったから。



オレの家は、どこか普通とは違うと、子ども心に思っていた。



父親は会社の幹部的存在で、かなり地位は高く、エリートって感じの人。

お金は沢山あったけど、愛情と言うモノはくれたことがない。

完全な仕事人間だったんだ。

家庭なんて、家族なんて顧みない。

滅多に家には帰ってこないし、家族と話さない。

仕事だけが生き甲斐のような人だった。



父親は常に不在のため、だだっ広い家にはオレ、兄貴、それと母親だけいた。

兄貴は交流関係が広く、毎日学校から帰ると多くの友達と出掛けた。

対してオレは友達なんていなかった。

話す奴はいたけど、うわべだけの付き合いって感じ。

そのためオレは学校から帰ると、どこにも出掛けず家にいた。



兄貴は多分、知らなかったと思う。

母親が毎日違う男を連れ込んでいたことを。

オレのいる部屋の扉を固く閉じ、オレを部屋から出さないようにしていた。

オレが部屋から解放された時、母親の連れ込んでいる男はいなかった。

多分、小学生だったオレに見せられないイロイロなことをしていたのだろう。



扉の鍵を開けた時、母親は笑顔で言うんだ。

「お父様とお兄様には内緒よ」って。

気味悪いほどの笑顔で。