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「氷くん!」



今日もバタバタと、太陽のような彼女がやってくる。



「どうしたのさそんなに慌てて」



彼女のお兄さんが大事にしていたグラスを、今日も磨く。

こうやってピカピカにすると、心も綺麗になる・・・なんちゃって。



「受かったの!」

「何に?」

「医学部に!!」

「本当!?おめでとう!」



カウンターから出てきた僕は、彼女とハイタッチを交わす。



「でもこれからが大変だよ。
陽詩乗り越えられる?」

「勿論!
あたし多くの患者さんを助けるんだ!」

「頑張って陽詩!
お金のことなら僕に任せて」



僕は紅羽や澪鵺みたいに殺し屋を辞めていない。

前から少しだけ受けていた殺しの仕事は辞めたけど、ブラックキャットの情報屋としては働いている。

陽也から受け継いだ情報屋としての能力を、多くの殺し屋に渡すためだ。



陽也が死ぬ前まで僕に教えてくれた情報屋としての能力。

それを生かさなければ、陽也もおちおち死んでいられないだろうから。