わたしがその事を知ったのは、情報通な幼なじみと久しぶりに顔を合わせた時だった。彼はその能力故に遠出をする任務に就く事が多く、行った先々でお土産を買ってきてくれる。


今回はその地域でよく食べられているというお菓子。今日のティータイムに食べようと思いながら、次の瞬間彼が唐突に言った言葉に身体を硬直させた。


「そういや、最後の『供物』が失くされたらしいぜ。…捕縛師達が血眼になって探してんだってさ。」


供物を失くした者を、わたしも彼も知っている。けれど何方もその事には安易に触れない。


わたし達は、忘れないといけないから。


「…あの二人なら、きっと大丈夫。」