いつもと同じ景色を見て
いつもと同じようなことを学ぶ
正直言って退屈だった
今日くらいは何かが違うと思っていた
黒板の端を見る
(9月20日......)
つまり俺の誕生日だ
一つくらい良いことがあるんじゃないかと朝から楽しみにしていたが時刻は放課後、夕日に照らされながら、俺は教室で日直の仕事を淡々と進めていた
(運が悪いなー、こんな面倒くさいことしな きゃなんて)
そんなことを考えながら......



「さーとーしくーん」
俺には彼女もいない
一緒に帰るような親しい女子もいない
じゃあ誰だ?
そんなことを考えながら振り返る......
その人物はドアのところに立っている

酷い......

後ろにいた女子を見て最初に思ったことがそれだった
髪はボサボサ制服はみだれていて下着まで見える
名札を見てもその名前には覚えがない
(不潔な女だ)
こういう変なやつとはなるべくかからないほうが良い
「じゃあね」
そう言って横を通り抜けようとした
「なんで無視するのかな?」
腕を掴まれた
「放せよ、もう家に帰って寝たいんだ」
腕を振りほどこうとした
(凄い握力だ)
腕がまったく動かない
「今日悟くん誕生日でしょ」
(なんで知ってる?)
「まだ良いこと何もないんでしょ?」
(え?)
「だから、......一緒にかえろ?......」
「いままでずっと待ってたの?」
「うん、ずっと待ってたの」
「悟くんが不幸続きだからあたしが、 一緒にかえってあげようと思って」
(余計なお世話だ)
「だから一緒にかえろ?」
こういうときは素直に従ったほうがいい
「じゃあ帰ろうか」
「うん」
そう言って彼女は俺をベランダに向かって引きずり始めた
(な !)
抵抗できない!
それにこの女は何するつもりだ......
なすがままにベランダに放り出された
そして手すりに抑えつけられる
手すりが背中に当たっている
「お、おい何するんだ!」
そして女はこう言った
「一緒に、還ろう」と......
そして俺と女はベランダから飛び降りた......


こうして俺の誕生日は......
命日になってしまった。