暫くは車での登下校が続いたけど、12月の頭頃、また駅を使って登下校することになった。


動悸もあまりでてないし、不整脈もたいしたことない感じだもん。


もしかしたら、武石君いるかなぁ。


どきどきしながら、待合室の扉をがらがらとあけて、中を覗いた。



でもそこには石油ストーブの上のお鍋がこぽこぽと音をたててるだけで、誰もいなかった。



今日は雪も積もってないし、自転車とかで帰ったのかな。


お礼いいたかったんだけどな・・・。



溜息をついて、駅員さんを探した。



トイレの前で掃き掃除してる駅員さんを発見。


大学卒業してそのまま配属された新卒の駅員さん、23歳。


何度も助けてもらってる。


にこにこの笑顔が優しくて大好き。



「駅員さん!この前はありがとうございました!」


「おう、ちとせちゃん。元気になった?」


「おかげさまで。」


「ちとせちゃんがいないと放課後の時間帯の待合室はがらあきだよ。」


「あははっ。みんなせっかちだから隣の駅行っちゃいますもんね。」


「最近見かけるあの金髪くんは結構来てたけどね。ちとせちゃんの友達のさ。」


「武石君?そうなんですか。今日は来ないかなぁ。」


「もう電車来ちゃうけど、もし見かけたら伝えとこうか?」


「お願いします!お礼言いたくて。」


「だと思った。じゃ、まもなく0番線に電車がまいります。ゆっくりホームまで進んでください。」


「あはっ。ありがとうございます!」



定期券を駅員さんにみせて、ホームへと進んだ。


今日は武石君に会えなかった。