「確かに誰もいないようだな」
「みんな、いったいどこに行っちまったんだ?」
地面に寝転がってウジウジしているあたしをよそに、男三人は周囲を見渡している。
あたしも気を取り直して身を起こし、薄闇の中を伺った。
・・・ほんとだ、誰もいない。しま子の姿すら見えない。
しま子が穴に落っこちたあたしをほったらかして、どこかへ行っちゃうなんて。
普通に考えてあり得ないよ。やっぱり何かあったんだ。
―― ピクッ!
その時、門川君とセバスチャンさんの体に緊張が走った。
と、ふたり同時に同じ方向に素早く振り向く。
ひどく厳しいその目は、洞窟の出口の方を向いていた。
「永久様」
「ああ、いる」
ふたりが短く会話を交わし、うなづき合った。
・・・いる? いるって何が? みんなが出口の方にいるの?
でも何でそんな怖い顔して・・・。
―― パラパラパラ・・・
突然天井から、細かい小石が降ってきた。
見上げるあたしの目の前に、さらに小石や土埃が続けて落ちてくる。
なにこれ? それに、なんだかさっきから・・・
「ねえ、なんか聞こえない?」
あたしは集中して耳を澄ました。
・・・ほら、ほらやっぱり聞こえる。
ズシン、ズシンって。大きな何かが、寝返りでも打っているような・・・?