しま子は憤怒の表情で牙を剥き、血走った目でギョロリとこちらを睨みつける。


ソロソロと後退していた島民たちが、飛び上がるほどビクッと身を震わせた。


みんな恐怖で足が竦み、身動きできない。


腰を抜かしている者もいる。


しま子は自分の力と怒りを誇示するようにズゥン! と地を踏み鳴らし咆哮した。


「がああぁーーー!!」


「しま子、待って! 落ち着いて!」


あたしは立ち上がり、足を引きずりながら大急ぎでしま子へ近寄った。


本気で怒ってる! あたしに危害が加えられたのを見て、ぶち切れちゃったんだ!


みんなを攻撃するかもしれない!


そんな事になったら・・・もうお終いだ。止めなくちゃ!


「しま子、あたしは大丈夫だから・・・」

「うがあぁぁ!」

「しま・・・・・・!?」


―― ブウンッ!


しま子がいきなりあたしに向かって、大きく腕を振り下ろした。


危な・・・・・・!


あたしはヘタンと尻もちをついて鬼の爪から難を逃れ、しま子を見上げる。


しま子!?