程なくあたしの治療も済んで、一行は移動を開始した。


元気になったハインリッヒも、あたし達のボディガード役として同行。


仲間として立派に役立ってくれた。


ハインリッヒの背中に乗って移動できれば、すごい楽ちんなんだろうけどなー。


でもさすがのお岩さんもゾウに乗った経験まではないらしいし。


「着いたぞ。ここだ」

「やっと到着? あぁ、良かったぁ」


オデコの汗を拭きつつ、浄火の視線をたどると・・・。


「・・・なに? 行き止まりじゃん」


あたし達の目の前には、大岩が積み重なった崖がそびえ立っていた。


崖っていうより、崩落の災害現場じゃないの?


大量の大岩がゴロゴロと、落ちものゲームみたく乱雑に組み合っている。


それにしてもでっかい岩ねぇ! ひとつひとつが、ふすま三枚分くらいの面積はある!


「行き止まりじゃないさ。岩のすき間を通って中に入って行くんだよ」


「へ!? この中に入んの!? この落ちゲーの中に!?」


見れば確かに、岩と岩のすき間に橋らしきものが見えて奥へと続いている。


あれを渡るの!? あーんなうっすい板っ切れ一枚を!?