「大丈夫ですわ、アマンダ。またすぐにしま子と会えますわ」


「あんた、しっかりおしよ。情けないねぇ」


「・・・うん・・・ごめんね」


ふたりに慰められて、あたしは鼻をこすりながらうなづいた。


そうだよね。メソメソしてちゃダメだ。しっかりしなきゃ!


気を取り直して胸を張り、キリッと前を向く。


そして枯れて変色した植物に覆われた砂場を力強く進んでいった。


「しっかし、ずいぶんと歩きにくいね」


「ドレスの裾が引っ掛かりますわ。大変な悪路ですわね」


うーん、やっぱり殺風景。寂れた島だとは聞いてたけど、予想以上かも。


見える景色は植物の緑より、岩や崖の灰色ばかり。


山も川も見当たらないし、そういやさっきから虫一匹すら見てない。


自然の豊かさや、美しさみたいなものがここには全然ないんだ。


浄火が権田原の景色にえらく感動してたけど、それ、良く分かる。


あちこちキョロキョロしながら歩いていると、いつの間にか浄火があたしの隣を歩いていた。


足元に視線を落としつつ、小さな声で話しかけてくる。


「里緒、あのさ・・・」


「ん? なに?」


「お前、やっぱりあの門川当主のこと・・・」


「門川君が、なに?」