それからなぜか、桐谷……いや、爽は放課後になるとあたしの席までやって来た。



とは言っても


隣だから、立ち上がってすぐにあたしを見下ろすだけだけど。



ギロリと睨み付けながら冷たく一言。



「行くぞ」



いつもあたしの返事なんて聞かずに、そう言ってスタスタと教室から出て行く。



廊下に群がる女子の集団には目もくれず、ダルそうにポケットに手を突っ込みながら歩くその背中。



「ほら、行って来なよぉ」



真央がキュートな笑顔をあたしにくれるけど……。


笑うところじゃないからね?



「それにしても、あの桐谷がね〜」



奈子がグロスを塗りながら苦笑いを浮かべる。