あれから数日後。


その日もいつもと変わらない時間が流れていた。



学食でお昼ご飯を食べ終え、教室に戻ってあたしの席の周りで三人で他愛ない話をしていた時だった。



「なつ」



教室の後ろのドアから、しんちゃんがヒョイと顔を覗かせた。



ドキッとしたのも束の間、しんちゃんが教室に来るなんてことは初めてだったからビックリした。


どうしたんだろう?


クラスも階もちがうのに。



「相変わらず爽やかだねぇ、小夏の幼なじみは」


「見てて清々しいほどにね」



ふたりの声をバックに、立ち上がってしんちゃんの元へと向かう。



「どうしたの?」


「英和辞典持ってたらかしてくんない?」



あー、そういうことね。



「いいよー、ちょっと待ってね」



そう言いながらロッカーまで行き、中をゴソゴソと漁る。



新しいクラスになってから約一ヶ月しか経っていないのに、ロッカーの中は荷物でいっぱい。


真新しい教科書がたくさん山積みになっている。



その中から英和辞典を引っ張り出し、しんちゃんにそれを渡した。