街のネオンは私の心をかき乱す。
 この喧騒に身を委ね身を隠せば、私も街の一部となったようで少し気が紛れる。

 この体中の痛みすら、煩わしさに溶けていくようだ。


 それが愛だと誰も思わないだろう。
 友達にすら知らぬ顔をされ、泊めて欲しいと懇願したがことごとく断られた。
 別れなよ───そんなの言われなくたって分かってるさ。
 愛されてるって言えるの?
 そんな奴のどこが良くて付き合ってるの?
 ───で、結局みんな人の不幸を笑ってるだけじゃない。


 手に握る携帯が、煩わしく鳴り響く。
 ディスプレイを見れば、諸悪の根源が私を捜している。
 それは愛なのか、それともはけ口の土台なのか。


「……ッ!」


 頭がドクンっと脈を打つ。
 それは脳内を侵略し、激痛を走らせる。
 ───ああ、テーブルにぶつけたせいだ。
 視界は暗転し、私は冷たいコンクリートに倒れ込んだ。



 こんな形で終わるなら、もっといい恋をすればよかった。
 体中に痣を作り、愛を求め、体を欲され、また痣を作る。
 私の全て、冷たくかくまわれた愛という代償に奪われた。
 せめて、本当の愛に触れたかった。
 
 皆が描く、暖かく日だまりのような愛を……───。