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「いやぁーほんとスイマセン」


私は頭を掻きながら、苦笑いで言ってみる。

まあ、効果はないのだろうけど。


目の前にいる可愛い男の娘、もとい佐藤くんが靴を履いてとんとん、とつま先を叩いて立ち上がった。


「……」


そして無言で私を睨みつけてくる。

その瞳がちょっとだけ赤く染まっているのは、可哀そうなのでツッコまないでおこう。


「本当にすいませんってば。私が悪かったです。まさかあのギャルゲー全クリアするのに数百時間かかるとか知らなくて」


「……別に」


むすっと佐藤くんがそっぽ向いてしまう。

まさか、雛森さんルートがらぶ♡パッションの最大ヒロインだとは。しかも選択間違えたら一発ヤンデレルートとか。