***



「夏祭りに行きましょう!!」






私は、高らかに宣言した。

むさくるしく、トランプで豚のしっぽをしていた瀬尾と佐藤くんが振り返る。


「はあ?なんだよ夏祭りって」

「夏祭りは夏祭り」

「あれだろ、リア充がやたら群がってるっていう死の宴」

遠い目をしながら、瀬尾が大きくため息をつく。

いや、確かに中学校の知り合いで逢いたくない奴に逢っちゃったとか、絶対こいつモテないだろとか思ってたやつに限って恋人といちゃいちゃしている場面に出くわすとか、あるけどさ。


瀬尾がそんなことをしている間に、佐藤くんは円を描くように広げられたトランプをひっそりとめくって、真ん中に積み上げられたトランプの上に乗せるとバンと叩いた。


「はい、瀬尾の負け」

「……は!?ちょ、佐藤それは無い!人が黄昏てるときにそれは卑怯すぎだろ!!」

「あーごめんなんか耳が可笑しいみたい。負け犬の遠吠えが聞こえる」


あーと言いながら、佐藤くんが耳をぱんぱん押さえる。


君ら、いい年して学校に残ってまで何やってんだよ。