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目的地は、おばあちゃんの家から4駅またいだ、静かな田舎にあった。
田んぼと、ほんの時々通るトラクターにのった老人、ぽつぽつと木造の古い家が立ち並んでいる。
そして、目的地のその家は、駅から数十分歩いた、ますます人通りの少ない寂しい場所に佇んでいた。
「……すみませーん」
隣で、結城が控えめに門扉の前から声を上げる。返事はない。
「留守、でしょうか」
「……」
結城が、ブロック塀からちょこっと顔をのぞかせる。俺も続いて、同じように踵を上げたその時。
「───どちら様ですか?」
ふいに、声がした。
物静かな、優しいテノール。
振り返ると、そこには声にあった優しげな笑みを浮かべる、男性が一人買い物袋片手に、立っていた。