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そのあと、金曜日だし泊まっていきなよー!という瀬尾のお母さん美知恵ちゃんの粋な計らいで、佐藤くんは瀬尾んちに泊まっていくことになった。


私はいったん自分の家に戻って、ご飯を食べた後、


「ちぃ~っす!!」


例のごとく、瀬尾の部屋の窓から侵入。


ベランダの手すりに足を掛けて、よじ登っていると、


「ったく、お前玄関から来いと何度言えば分かんだよ」


ふと、声がして私は顔を上げる。

ベランダの窓から、いつものように呆れた顔でこっちにやってくる瀬尾。ため息をつくと、よじ登る私に手を差し伸べてきた。


「心配にはおよばんよ」

「およぶわ」

「はァん?別にいつもやってることなのに、瀬尾ってば美知恵ちゃんの心配性うつったんじゃない」

「そんなの昔からだよバーロ」

「てぃれってれててぃれってれれ~」


私は誤魔化すように、見た目は子供頭脳は大人なテーマを歌いながら、差し伸べられた手を取って、ベランダに着地した。