俺と諏訪野と日野沢はとりあえず教室へと戻った。


……まだ心臓がうるさい。

ここに戻る間の廊下でも気が抜けなくて、また誰かが襲ってくるんじゃないかって、ずっと後ろを気にしながら歩いてきた。


「潤っ。大丈夫だった?」

一番に駆け寄ってきたのは美織だった。


俺たちは2年1組に着いてすぐにドアに鍵をかけて。もちろん田上と江口がいないことにみんなすぐに気づく。


「戻ってきたのは篠原くんたちだけ?あとのふたりはどうしたの?」

渡辺にそう聞かれたけど、声が出ない。

まるで恐怖で喉が塞がれてるみたいだ。


「死んだよ」

空調さえ聞こえてきそうな静かな教室で、日野沢が言った言葉がやけに響いて聞こえた。


「し、死んだ……?」

みんなの顔色が変わる。


「田上は分からないけど江口は死んだ。西に殺されたよ」

日野沢の口調は世間話をするように淡々としていて、この状況でなんでそんなに冷静でいられるのか理解できない。

でもそれを責め立てることさえ、今の俺は余裕がなくてできなかった。