時間は21時45分。

夜空には丸い月が浮かんでいた。


……こんな時間に呼び出すなんて何事だろう。

まさか別れ話?いやあ……はは。

だったからどうしよう。立ち直れないかも。

なんて、そんな女々しいことを思いながら俺は通っているN校へと急いだ。


「お、やっぱり潤(じゅん)も来たんだ」

「え?正人?なんで……」

校門の前に着くとなぜか友達の正人(まさと)がスマホを片手に立っていた。


「いや、俺は杏理(あんり)に呼ばれて来たんだけどさ」

「日野沢に?俺は……」

「どうせ早川さんだろ?とりあえず潤で全員揃ったみたいだから、みんなのところ行こうぜ」

「は?みんな?」

正人の言っている意味が全く分からない。


学校の校門はこの時間なのに開いていて、敷地内にそのまま入ると校舎の前に固まる人影が。

よく見るとそれは2年1組のクラスメイトたちだった。