朝、6時のデニーズで…


他には朝帰りのカップルが一組だけ。
この街でも、9月の3週目に入ると乾いた風か吹き始めた

いつものように窓際のガラス脇
角の席に座る。

いつも見かける 特徴も個性もない
ウエイトレス。
今まで、気にかけたことはなかった。
なぜかなんて考えたことは、なかったけど
僕にはデニーズにおける彼女の必要性と存在がなかっただけで、これは、彼女のせいでも、もちろん僕の悪意でもない。

たぶん、
真夜中からの遅番勤務だろう。
表示のない、横顔に似合わない薄笑いを
浮かべて近づいてこう言った。

[デニーズへようこそ]

この瞬間にも、たぶんベラルーシやシリアや、ソウルにある世界中のデニーズで
7521人(推定)のウエイトレスが
世界同時的に発した
愛とホスピタリティのかけらもない
言葉。


頭には、唐突さが否めない、
色のあせた赤いプルメリア。
悲しいほど不似合いだ。

最近は、早くに身が覚めてしまう
ボクは、来週初めて受ける事になったTOEICテストの試験問題を解いている。50歳をとうにすぎた
自分がこんなことして何になるかと思いながらも、あがきに似た、思いで文字を追っていた。

7枚目のUNIT3を終えたところで採点した
ら、52点だった。(チェッ)

52点の英語にどんな意味があるのかな?
さえない点数だな、とにかく。
他人なら慰めようもないだろう。


気がつくと、 プルメリア壤が右手にコーヒーサーバーを持って立っていた。

おかわりいかがですか?
とプルメリア壤が聞くので
ボクはああとだけ言って
テーブルの上の
カッブを送った。