寝る支度を済ませてベッドで小顔ローラーをしながら音楽を聴いていたとき。
携帯に千暁からメッセージ。
"まだ起きてる?"
すぐに返信して起きてることを伝える。
"ちょっと話さない?"
出てこいって合図。
ゆっくりベランダに出ると、すぐ近くの隣の家のベランダに千暁がいた。
「どしたの、なんか用?」
「いや?別に」
なんかあるときにしか、ベランダでの密会はないから。
「そっち行っていい?」
「うん」
ピョン、と飛び越えてうちのベランダに入ってきた。
「もうすぐ夏休みだな」
「ね」
いつ気がついたのか、私たちの密会を知ったお父さんが用意してくれた手作りの木のベンチ。
いつもみたいに並んで座って、空を見上げる。