帰りのホームルームが終わってまだガヤガヤしてる教室。
「んじゃ、帰ろ」
リュックと手提げを持って、千暁が立つ。
「俺出すわ」
「え、いいよ、こないだも千暁家が出したじゃん」
「庭貸してもらってんだからいいの」
「えーっ、今度はうちが出すってお母さん言ってたもん」
「はいはい、いいのいいの」
「割り勘ね、ワ、リ、カ、ン!」
「うっせーよ」
二人で歩いてて、噂になったのは入学したばかりの時だけ。
もうまわりもなんにも言わない。
ただ、千暁に彼女がいるときはあんまり一緒にいたくないんだけどね。
「あ、悠希帰る?また明日ねー」
「うん、那子ばいばい」