【想乃side】
放課後は近所のスーパーで買い物をして、一人暮らしのマンションへ帰る。
「ただいま〜……」
そう呟いても、返してくれる人がいないって案外寂しいもので……。
だけど慣れなきゃね。
制服姿のままキッチンに立ち、お湯を沸かす。
駆琉が来てくれなくなってからは、料理に興味なくなっちゃって完全な手抜き。
レトルト系が増えてしまった。
現に今日だって、カップ麺だし?
駆琉に会えなきゃ、毎日のやる気すらなくなるもん……。
ピンポーンーーー……
ちょうど、お湯が沸いた時。
家のチャイムが鳴った。
誰かな?
恐る恐る玄関に行き、小さく返事をしてみた。
「はーい……」
「俺。開けろ」
この声…!!
もしかして……駆琉!?
思いっきりドアを開けると、そこには生傷だらけの顔で立ってた駆琉。
「駆琉……」
「悪りぃ…一人にして。会いに行ってやれなくて」
「ほんとだよ……。寂しかったー!!」
自分でも息が苦しくなるほど強く抱きついた。
そんなあたしを優しく微笑みながら抱きしめ返してくれる。
涙……止まんない…。