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そこは、フェルダン王国から遠く離れたとある国。



王宮と思われる城の一室で、豪勢な衣服に身を包んだ男が、怒りを顕に憤慨していた。



「一体どういうことだ!!!
何故こうなった!!!」

「お、落ち着いてくださいっ......」

「これが落ち着いていられるか!!!」



何故だっ何故だっ、と頭を抱え連呼する男。



「......まさか、《あの男》が来るとは思わなかったんですっ......!」



男の従者が悔しげに顔を歪めそう言った。



「《あの男》......?何だそれは、聞いてないぞ!!」



顔を上げ責め立てる男に、従者は言う。



「......フェルダン王国からの援軍ですよ...」



その台詞に、男は顔を更に紅潮させ怒り狂う。



「バカものっ!フェルダン王国は、あ奴らの友好国だろう!必ず援軍が来ることは分かっていただろうが!!!対策はいくらでも立てられたはずであろう!!」



お前はそんなに落ちぶれた奴だったかと、従者に怒声を浴びせる。



しかし、従者も言われっぱなしにはならない。



きっ、と男を見返し口を開く。



「勿論!それは我々も分かっておりました!!フェルダン王国近衛兵特殊部隊の内一人が必ず送り込まれることもっ!その対策もいつも以上に立てていたつもりでございます!!!」


「では、何故だっ!軍の大きさもあ奴らを大きく上回っていた筈だろう!
それなのにっ......




何故、我々の軍が戦闘開始後、半刻も持たずに全滅してしまう!!!」