***



「メーちゃん、帰ろ!」

「うん、待って!」



教室のドアのところで、私を待つサクロを見つけて、慌てて鞄を持ち上げた。



「七海ちゃん、ばいばい」

「ほーい、また明日ね」



笑顔で送り出してくれた友人に手を振って、廊下に出る。


サクロの部活のない日、私たちは一緒に帰る。


冬に近付くにつれて、その日数は増えて行くから、楽しみが増えるみたいで、嬉しい。


朝は、サクロは部活の練習があるか寝坊するかで、一緒には行けないから。



「メーちゃん、今日、暇? 久しぶりにどっか寄っていこうよ」

「う、うん」

「やった。メーちゃん独占」



さらりと言う無邪気な声が、どれほど私の心臓に負担をかけているのか、サクロは知らない。