「メーちゃん、実はおれ、超能力者なんだ」
小学校2年生の秋、季節外れの転校生であったサクロは、得意げにそう言う。
嘘を吐く悪戯っ子のようにニヤニヤすることも、年相応にはしゃいで興奮する風でもなく、至って真面目な表情で私に言う。
「なんのちょーのーりょくしゃなの」
私もそれに応えようと、一生懸命に真剣な顔をして、聞き返した。
サクロはそれが嬉しかったのか、ふわりと微笑んで、あったかい、私より少しだけ大きな手で、きゅっと力強くの私の手を握る。
「予知能力者!」
「よち?」
「未来が見えるんだよ! おれ」
やたらと嬉しそうに言うサクロにぽかんとして、何も言わないまま首を傾げた。
繋いだ手をぶんぶんと振りまわした少年は、それから熱のこもった声で、私に言う。
「メーちゃんは、おれと結婚するんだよ」