俺たち一行は、御園生ともうひとりの女子に案内されて藤宮くんのもとへ向かって歩きだした。
 ハルに、「この子なんでしょ?」 と肘でつつかれつつ、下田と郷田にも背中を押される。
 何か話さなくちゃと思えば思うほどてんぱってしまう。
「ほら、話せよっ」
 小声でせっつかれてようやく御園生の横に並ぶ。と、隼人先輩も御園生の横に並んだ。
「……姫って呼ばれてるの?」
 訊くと、御園生は困ったようにコクリと頷いた。
 次は何を訊こう。そう思った瞬間、心臓が口から出てしまいそうな質問を隼人先輩がした。
「ね、彼氏いるの?」
「えっ!? わ、あ……いません」
 御園生は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
 何か話さなくちゃ、助け舟になりそうな会話。何か何か何か……。