今日もまた、雨が降っていた。





「今日はちゃんと傘持ってきたよ‼︎」






私は陸登に自慢するように傘を見せる。






だけど陸登も…






「持ってきたけど⁇」





…。






「うぜぇ」






「なんがや」






もういいや。






私は傘を指して学校を出ようとしたその時だった。






「あれ⁇…佐野先輩⁇」






そこにいたのは紛れもなく、佐野先輩だった。






「あ…美来ちゃん」





「こんにちは」





「美来ちゃん今帰り⁇」






「あ、はい」





「そっか」






よくよく見ると、佐野先輩は傘を持ってなかったのが見えた。






「佐野先輩もしかして傘…」






「ははっ、今日は忘れちゃったんだ」






と、笑いながらそう言う佐野先輩。






よし。






これは前のお返しだ。






「良かったら入りませんか⁇」






言えた。






すると佐野先輩は






「え、でも…」





「家まで送りますよっ」





「いやー、それは悪いからさ。オレが美来ちゃんを家まで送るよ、傘を借りていいんだったら」





「私は全然大丈夫です」





「良かった。なら行こうか」






その時やっと気づいた。






陸登がいなかったと言うことに。






きっと先に帰っちゃったんだ。






佐野先輩との話がついそっちに集中しちゃって。