「はぁ!?18歳相手にサバを読んだ!?」



翌日。昼休みのフロアで、昼食のサンドイッチを食べながら昨日の話をした私に、莉緒はおにぎり片手に声をあげた。

綺麗なアーモンド型の目をしたその顔は、驚きというより呆れを浮かべている。



「や、やっぱりダメだったかな……」

「ダメっていうか……ありえないでしょ!バカじゃないの!?」

「うっ……!バカでございます……」



『ありえない』『バカ』、莉緒からの容赦無い言葉にも、当然私は返す言葉もない。



「だって、だって……引かれたくなかったのー!!」



十八歳相手にサバを読む、なんてありえないことをしているのは分かっている。だけど、今更撤回も出来ないし……。



「なーに騒いでるんだ?」



そう話していると、莉緒の背後からやってきたのは営業から戻ってきたらしい北見さん。

彼は手に抱えていた書類を私のデスクにどさ、と置いた。



「北見さん。これなんですか?」

「なにってもちろん仕事。これ全部データ入力頼むな」

「えー……こんなにですか?」

「って七恵!あんたはそれより考えるべきことがあるでしょ!」



北見さんからの仕事の話へ気を取られかけた私に、莉緒は手にしていたおにぎりの最後の一口をぱくっと食べると、デスクをバンッと叩く。