ずっと、彼についていた嘘。それを正直に話したことで、心はより近付いた。



30歳であることを受け入れてくれる彼方くんと、そんな彼方くんにますますぞっこんな私。

そんなふたりは今まで以上にラブラブで、歳の差という壁なんてないかのよう。



『今バイト終わったから、駅で待ってて』



彼方くんからのメールに『はーい』とハートマークをつけたメールを送り、仕事終わりの私は更衣室で私服に着替えるべくセーターを脱いだ。

隣のロッカーでは、莉緒が黒いブラにスキニーパンツというセクシーな格好で着替えをしている。



「なに、また愛しい彼方くんからのメール?」

「え?なんでわかるの?」

「顔、緩んでる」

「そ、そうかな!?」



すらりとした細い体にニットのカットソーを着ながら、言い当ててみせたその顔はふっと笑う。



「けど七恵、最近綺麗になったよねぇ」

「え?そう?」

「うん。前の男の時より全然綺麗。顔も明るいし、肌の色もいいし……幸せいっぱいって感じ」



言われてから鏡を見れば、確かに最近化粧ののりはいいかもしれない。けど特別化粧品を変えたりもしていないし……もしや、彼方くん効果!?

私を癒して、幸せにしてくれて、更に肌まで綺麗にしてくれるなんて……!



「マイナスイオンよりコラーゲンよりすごいね!彼方くん!!」

「は?」



感心しながら言うと、莉緒は意味がわからなそうに首を傾げた。