屯所に帰ってから、ずぶ濡れの着物や髪を乾かし、部屋に集まる。

「鈴音が…将軍に気に入られちまった」

土方さんが口を開いた

「「…え?」」

皆突然のことで理解できていないようだ。
平助君なんて口を開けてほうけている。

「将軍に鈴音を渡せ、と言われたが、もっぱら渡す気はない。そうだろ?お前ら」

視線だけを動かして全員を見る。

「当たり前でしょ」

「ああ。」

真剣な顔で口々に答える

「相手は将軍家茂公だ。責められる可能性はかなり高い。でも、全力で鈴音を守るぞ」

「鈴音…お前はどうしたい?ここに居たいか?」

守る、その言葉が正直とても嬉しかった。
でも…