萌黄エリカは恋する女子高生。


今日は憧れの先輩と放課後の勉強会♡





「お前、こんなところも分からないのか。」

「だって難しいんですもん!」



そう言って、ルーズリーフを1枚取ろうと手を伸ばすと、先輩と手が当たってしまった。




「っ……。」

「先輩?」



先輩の顔が赤いのは……?





〜To Be Continue〜





パタン……






「先輩、かっわいい……!!」






ベッドの上でバタバタと転げ回りながら独り言を言う。


日も沈みかけた夕方、学校から急いで帰ってきた私は制服も脱がないで、昨日買った漫画の新刊を読むのだった。





「クールな先輩が純情キャラとか、はぁ最高ですよね。ご馳走様です。」





きっと私は今人に見せられないような顔をしているに違いない。

ほっぺゆるゆるで、口元はゆっるゆるだと思う。

でもいいの。だって!幸せだから!





前の巻を読み直そうか、とよいしょと体を起こすとドアの前に人の気配を感じた。







「また漫画読んでるの?」




声がする方向を見れば、視界に入るのは長身・飴色の髪を持つアイツ。




「私の人生で一番幸せな時間は漫画、アニメの類を見てるときだから放っておいて。」





ぶっきらぼうにそう言うと、ごめんねなんて言うけど、絶対思ってもない。



彼は人の話を聞かない天才だから。








「恵、西校連盟は?」



「別に俺がいなくても変わらないし。初伊に会う方が大切だから。」



「早く戻りなよ。それでも総長なんだから、橘が迷惑するでしょ。」



「……あれ?萌えない?」






女の子はそういう言葉好きなんじゃないの?と彼は首を傾げる。

普通の女の子だったら、その表情と行動でノックアウトかもしれないけど、私は冷たい目で彼をみた。




「萌えません。」


「何で?」


「毎日毎日人の行動を覗き見して、しまいには勝手に合鍵作って侵入してくる奴に萌えるのならば、私はきっと宇宙人だよ!」







「じゃあ初伊は宇宙人だ」とふわりと笑う彼、西巴恵(さいは めぐみ)は私、烏丸初伊(からすま うい) の隣人だ。



中学校では3年間同じクラス、家が隣にあるという偶然。そして私は何故かそんな彼に日々口説かれている。






飴色の髪。
目を伏せると影を作る睫毛は私より絶対に長い。
純日本人らしいが、色素が薄く一見ハーフで。

顔は抜群。
ムカつくことに声は甘く、物腰優しい。
更には長身、抜群のスタイルだ。


ああ、羨ましい。



恵は客観的に見て、もの凄く格好いいと思う。


でも、彼には重大な欠点があるのだ。