「織部先輩!おはようございます!!」



下駄箱で靴をしまっていれば、毎日飽きるほど見ている姿があった。

よくもまぁそんな毎日朝から元気だよね。



「……はよ」



尻尾でもあったら全力で振り切れているであろうその姿を視界にいれて、いつも通り挨拶する。


これでまぁいつもならそのまま教室に入るまでついてきて、昨日何をしただの、今日何をするだの、どうでもいい話を続けるのだけれど、今日は一風変わっていた。



「なにしてんの…?」



手を後ろに回し、イヤホンを外している俺の前でなんだか挙動不審だ。

目線は右往左往し、視線が合わない。




「えっと、あの…」



何か言いかけたとき、タイミングが良いのか悪いのか、予鈴のチャイムが鳴る。



「……あとでね」



その言葉に小さく頷いたのを確認し、教室へと向かった。