薬草採取人。


それは薬草を集めて売ることを生業としている者のことである。


手近にあるものから、危険なところにあるものまで、薬の原料となる植物を採取してくる仕事である。


危険なところに生えているもの、取り扱いの難しい毒草などが高く取り引きされる。


また、薬草と毒草も似ているものがあるので、間違わないためにも植物の知識も必要となってくる。


優秀な採取人になると、貴族に雇ってもらえることもある。


危険を伴う仕事であるが、珍しいものを採ってくれば一攫千金も夢ではない。


そしてー
数年前から採取人仲間や調合師の間で、ある人物が有名になっている。


どんなに難しい依頼でも必ずこなすという人物。

噂を聞きつけた人々がそのもとへと急ぐものの、その場からかき消えるように姿をくらますといわれている。


確かにいるはずなのに、誰ひとりとしてその姿を見たものはいない。


そのため人々はその人物をこう呼んだ。




ー幻の採取人と。