「翔輝、父さん……再婚しようと思うんだ」





土曜の昼、俺が作ったナポリタンを食べる手を止めた親父が言った。




「再婚?」


「あぁ。俺の秘書をしてくれている女性とな」




どうやら嘘ではないらしい。




親父は大手芸能事務所の社長。

俺は親父が社長ということもあって、その事務所の専門のファッションデザイナーの仕事をしている。




秘書って確か……。




「高野さん?」


「そう、高野理香さんだ」




高野さんはしっかり者で、女優にも引けを取らない美人の人だ。





高野さんなら、どこか抜けてる親父を引っ張ってくれるだろうから、大丈夫かな。