穏やかな日々が過ぎていく。


切なく、胸を熱くする幸せな日々が。


でもそれも、大樹の病気が悪化すれば、たちまち暗転してしまう。


不安に満ちた心で、ただ大樹の無事を祈るだけ。


大樹が一番助けを必要としている時に、あたしはなんの力にもなれない。


だから大樹から手術のことを聞かされた時、あたしの心は恐怖で凍り付いた。



「今度、県外の病院で心臓の手術を受けることになったんだ」


「・・・・・・え!?」


「ボクが生まれた病院なんだ。昔から、手術する時はずっと、そこ」


「・・・・・・・・・・・・」


「大丈夫だよ。何度も受けてる手術だから。今度も心配ないよ」


大樹の笑顔に反して、あたしの顔はみるみる強張る。


手術!? そんな!?


心臓の手術だなんて、すごく難しいんじゃないの!?


ものすごく大変で、ものすごく危険を伴うんじゃないの!?


あぁ・・・・・・まただ。


またあたしは、何もしてあげられない。


大樹が一番大変な時に、泣きながら待っているだけだ。