体育祭の朝。

今日も光太は黒のリュックを背負っていて、顔つきは何だか真剣なものに見えた。



「光太、今日気合い入ってるね」


「えっ。……そっかな?」


「うん。かっこいい顔してる」



こう言ったらいつもみたいに「当たり前じゃん?」とか返してくると思ったのに。


光太は自信なさげにへにょりと眉を下げた。

どうしてそんな、らしくない顔するの?



「光太?」


「……あのさ。綾センパイは、俺がかっこ悪くても、好きでいてくれる?」


「え……?」


「俺が必死で、全力出してがんばっても、まるで届かなかったら……。

センパイ、幻滅するかもしんないじゃん」