「わぁ、やったぁ!当たったー!」

あたし、柏木 結菜(かしわぎ ゆな)。
15歳の、中学3年生。


中学校の卒業式を、あと1週間後に控えた3月上旬のある日の放課後。

あたしは今、学校帰りに近所の駄菓子屋に来ています。


そして今あたしは、いつも以上にテンションが高い。なぜなら……


「ねぇ、おばちゃん見て!当たりが出たよ!ほら」

そう言ってあたしは、レジのところにいる駄菓子屋のおばちゃんに、“あたり”と書かれたアイスの棒を見せる。


「おぉ、ほんとだね。はい、もう1本」

「やった!ありがと、おばちゃん」


あたしはおばちゃんから、新たにアイスの入った袋を受け取る。


そう。あたしは今日、当たりが出たらもう1本もらえるという当たり付きのアイスで、人生で初めて“あたり”が出たのだ。


初めてだったから、超嬉しい。なんだか得した気分だなぁ。