寒い寒い、闇の中。

誰もが寝静まった真夜中。

純白の雪が降りしきる中、少女の口から吐き出された荒い息だけが白く染まっていく。

ハァハァ、と荒い呼吸を繰り返しながら、少女は走った。

ただ夢中に前だけを向き、あてもなく走り続けた。


後ろからは、何人もの騎士の声が聞こえる。

「いたぞ!あそこだ!!滅びた国(クリスタ)の者を引き捕えよ!」

ああ。気づかれてしまった。
これから、どうしようか。

後ろでけたたましい罵声が響く中、少女はやけに冷静だった。
落ち着き、これからの事を考える。