夏休み、それは私にとって嬉しい長期休業になるはずだった


だけど、今年は違った


夏休みに入って間もない頃、私は酷い頭痛に襲われ病院に搬送された


医者の口からは余命宣告を言い伝えられた


余命1ヶ月……。


どうやら私は頭に爆弾を抱えていたらしい


私の人生なんだったんだろう…


一人ため息をつき、窓越しに空を見上げた


ガラッ


「美月!!」


空に意識を飛ばしていた私は、少し驚きつつ病室のドアの方に目をやった


「春樹、どうかした?」


息切れの激しい春樹に不思議そうに笑ってみせた


春樹は私を見てすごく悲しそうな顔をした


すごく……悲しそうに


「美月、何で笑ってんだよっ!」


春樹はうつむき、震えだす声を抑えて言った


「えっ?」


「余命が1ヶ月しかねぇのに……、辛いはずなのに何で我慢するんだよっ……」


春樹は涙を流しながら言いつつその場にしゃがみ込んでしまった


「春樹、確かに辛いよ? だけどね、私が泣いてたら余計に心配するでしょ? それよりは笑っていた方が同情されなくていいじゃない」


残りわずかな時間だっていうのは辛いよ……


でも、私は春樹だけには心配されたくないの


春樹が大好きだから……


「だったら…………」


春樹は涙を拭き、その場に立ち上がった


そして私の方をまっすぐ見て……


「美月の一番の思い出を俺に作らせてほしい」


真剣な顔でそう言った