タケノコ村、キノコ……。

彼女からのメッセージを見たときは驚いた。

俺がいい歳をしてあんなゲームに興じているのを知られていたとは、いやはや……。

沖野先生の紹介とあったが、彼女たちが知り合いというのも意外だった。

秘書同士ならともかく、沖野先生は研究員。

しかも、うちのラボと先生が所属する松坂研とは、同じ研究棟というだけであまり研究上の交流はない。

ふたりにいったいどのような接点が?

皆目見当がつかない。

沖野先生は、俺が学生時代から大変世話になっている先輩の奥さんでもあり、俺にとっては研究所内でプライベートな交流のある数少ない人物だ。

そういった事情もあって、沖野先生と山下さんの関係には興味がある。

出張も無事に終わり、明日にはラボに顔を出せる。

喫煙室で沖野先生に会うかもしれないし、そうしたら先生にも少し話を聞いてみよう。


山下さんからの“お友達になってください”というメッセージに、俺は舞い上がるほど喜んだ。

もちろんお友達といっても、それはあくまでゲームの話。
そんなことはよくわかっている。

言ってみれば、同じ趣味のお仲間にしてくださいというやつだ。

それでもやはり嬉しかった。

そして、どうやら嫌われてはいないことに心底ほっとした。

いくらなんでも嫌いな相手にわざわざこういった交流は求めまい。

それともまさか……俺の村がデカイからか!? 
農作物や海産物が豊富だからか? 

いやいや、そんな金目当てみたいな打算的な理由であるはずがない(たぶん、ない……)。

まったく、山下さん絡みになると俺の思考回路はどうもおかしくなってしまう。

ともあれ、彼女と仕事以外の接点ができたのは非常に喜ばしい。