学食から教室に戻るまでの帰り道、赤崎さんと楽しそうに話している水無瀬さんを見つめる。



あの日から、俺は確実に水無瀬さんに惹かれていった。


今までの周りにいた女子とは正反対の彼女。


セミロングよりも少しだけ長い、ふわふわした黒髪。


それとは対照的な白い肌。


雰囲気にあっている柔らかな声。


ふんわりとした温かな笑顔。



会えば会うたび、自分でも驚くほどその全てが愛しくて。


つい……



「日向があんなこと言うとはねー」



ニヤリ、と隣で笑った颯が何を言いたいのか分かって、思わず頬が熱くなった。


顔を背けると面白そうに笑う気配がして、何とも言えない感情になる。



「本当に惚れてるんだな」


「うるさい」



キッと睨むが、颯は全く気にしてないように笑うだけ。



「、あれは…つい言葉に出たっていうか……」


「あ、惚れてるのは否定しないんだ」



すでにバレているんだ。


隠すだけ無駄な努力だよ。




"好き"



最初はもちろん絵に対してだった。


水無瀬さんに見せてもらった絵は、お世辞抜きで上手で、本当にすごいと思った。


特に、あの絵……



オレンジの温かな光に包まれた白い花の絵。


まるで、俺が水無瀬さんに恋に落ちたときのあの時間を切り取って描いたような絵。


思わず、この絵が好きだと言葉に出ていた。


顔をあげると、頬を染めて嬉しそうに微笑んでいる水無瀬さんにドクンッと胸が音をたてた。


彼女の笑顔が、今は自分だけに向けられているものだと思うと、温かなものが心の中に満ちていく。