ケータイ小説 野いちご

生贄七人、ながし雛

3月6日

 坂本さんとの話し合いがああだったから、彼女には何も期待していなかった。だから、次の日の朝になって彼女が私達のいるA組に来た時は驚いた。

 だって、彼女とは昨日までほとんど話したことなんてなかったし。

「放課後、時間取れないかな?」

 そう言った彼女の顔色は悪かった。昨日の夜、ほとんど眠れなかったように見える。

「いいけど、坂本さん部活は?」
「さぼる。どうせ私、補欠だしね」

 そう言って、彼女は苦笑い。

 坂本さんは軟式テニス部に所属しているんだけど、今まで一度も試合に出たことはないんだそうだ。
 
 本人もそれほど熱心じゃないみたいで、月曜日と水曜日の自主練習は出ないことにしているんだって。
 
 そのかわり、その日はハピネスでバイトしているんだと坂本さんは言った。

「いいよ、じゃあ放課後どこで待ち合わせる?」

「うちに、来てもらってもいいかな……? 歩いて十分ぐらいだし、他の人達にはあまり聞かれたくないんだ」

「うん、わかった」

 昨日までろくに話したこともない人の部屋にあがりこむのっておかしな気もしたけれど、彼女がすごく真剣だったから私は彩佳と一緒に行くことにした。
 
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