夜9時、行き先への時間ギリギリの最終電車に乗り、私は友達から紹介された場所へ向かっていた。
平日なのに、沢山のサラリーマンや色々な人が電車に乗ってるんだなって、周りを見まわしながら、何にも見えない夜の列車の窓から外を眺めていた。
ポツポツと、建物の灯りに何だか不安や寂しさが込み上げてきて、少しの間目を閉じた。

一瞬の瞬きのつもりが、何だか周りが騒がしく感じ、急に我に返り驚いた!
『ん?寝てた?私?ん?』
パッと見た左腕の時計には、深夜12時半と見える。
『え?ヤバッ、寝過ごしたぁ?駅は?』
乗客が降りて行く方へ目を向ける…そこには到着駅の名前があった!!!
『わっ、降ります!降りなきゃ〜』
少し寝ボケながら、誰に降りますと伝えているんだと思いながら(笑)荷物を肩へかけて、慌ててホームへ降りた。
『ビックリしたぁ〜(>_<)』
あれだけ寝てたのに、不安や緊張までしても、また寝ていた自分にもビックリしたのだ!(笑)
一人ホームをポツリと歩き出しながら、おかしくなった。

『楽喜ちゃ〜ん、楽喜ちゃんー』

ホームより、沢山の人達が出口への階段を降りて行くその中、人混み遠くから、誰か呼んでる声がする!
その声は女の人の声のみたい…
誰???
中々、私を呼ぶ人の顔が見えない。
その時、急に腕をガシッと掴まれた。
『きゃっ。』
驚いた瞬間、私の声が小さく沢山の息と一緒に出た!
その目の前に、その人が私の腕を掴んで、少し微笑みながら立っていた。