《愛空サイド》



キーンコーン―――



帰りのHRが終わり、みんな解散していく。



……今日も榎本くんに誘われるかな?



最近はほぼ毎日榎本くんに誘われて帰っている。
だから今日も……と、榎本くんの方に視線を向ける。
すると榎本くんはたくさんの女の子に囲まれて、楽しそうに話していた。



「ねぇねぇ、榎本くんって好きなお菓子とかあるー?」



「お菓子?んーそうやなぁ……チョコブラウニーとか好きかなぁ」



「そうなんだっ!じゃ、また作ってくるから食べて~!」



「え、ほんまに?食べる食べる!」



嬉しそうな笑顔を女の子たちに向ける榎本くんを見ていると、なんだか胸が苦しくなった。



やっぱり、榎本くんは誰に対しても優しくて笑顔を向けてるんだ……。
私のこと好きだなんて、きっと関西のノリとかそういうのなんだよ……。
榎本くんのノリを少しでも真に受けてしまった自分がバカみたい。



「あ、愛空!帰ろか!」



私に気が付いた榎本くんが、私に向かって手を振る。