《愛空サイド》



あれから教室に戻った私と榎本くんは、予想通り先生にめちゃくちゃ怒られた。
連れ出したのは榎本くんなのになぁ……。
ま、それからサボろうって決めたのは自分自身だもんね。
仕方ない……。



そして時間は流れ、榎本くんが転校してきて1週間と少しが経った。



はぁ、今日もまたアカリは先輩とお弁当か……いいなぁ。



「逢坂さん」



4時間目が終わり、教科書類を片付けていると田中くんに話しかけられた。



「た、田中くん!」



田中くんは誰にでも優しくて爽やかな男の子。
前にも学校に行く途中会ったとき、挨拶してくれたし。



「これ、落としてたよ」



「へっ!?」



田中くんの手には私の生徒手帳があった。



「わ、私ってばいつ……」



「渡り廊下に落ちてたから拾っておいたよ」



はぁ、私ってほんとドジ……。
落したことにも全く気が付いてなかったし……。