「お久しぶりです。この前、ありがとうございました」 図書館の書棚にいると、不意に声をかけられた。 振り返ると、どこかで見た青年。 相変わらずか細い顔色をしている―― 「あ、あーっと……」 本当に一瞬、誰だかわからなかったが、この前ここで体調を悪くしていた青年だ。 「あおいさん、でしたっけ。今日は大丈夫なんですか?」